社会的な全てを捨てて「正解」にすがった犯人。追いつめられて踏み外した犯罪者は自分と地続きだという思いで、別の姿をした自分に語りかける是枝くん。
必要とされたいとか、理解されたいとか、多かれ少なかれ同じような問題をみんなが抱えているわけだけれど、それに気付くためには他人との接点が不可欠。自分が見えなくなっていると感じるのと同じように自分からも周囲が見えなくなって、そのうちに自分だけの問題だと感じるようになってしまうことこそが不幸だと思います(語彙が少なすぎてうまく説明できませんが…)。
是枝くんのように、この犯人にたった一人の理解者が現れたところで人生が大きく変わるわけではないのだろうけど、それでも彼の持てなかったものをひとつ補うことで風向きが変わるきっかけに、またはブレーキになることはあり得るんですよね。<br>そして今更ながらに、是枝くんがどれだけ理解者を必要としていたかを考えざるを得ません。
神崎刑事と藤井寺ちゃんは違いを認めつつも歩み寄ったかんじですね。それもまた理解のかたち。シンプルに、行動しない相手だから見下す、そして最初の頃の藤井寺ちゃんへの態度は見下す+神崎刑事の特性としてちょっとやりすぎている、という解釈になったんですが、どうだろう。
そして理解者とは少し違うけれど、新たに是枝くんの言動そして存在を認めてくれる人を得た笑顔は、こちらがほっとしてしまいます。
犯人に対して理解というよりは同調を見せた是枝くんだけど、是枝くんにとって坂井さんは理解者ではあるけど同調してくれる人ではないんですよね。そして同調のほうがより閉鎖的でわかりやすいぶん居心地は良い。後に状況は違えど別の形をした欲しかったものを見せつけられるんだなあ、是枝くん。